メタバースの空間演出。仮想空間やNFT化する香水とアロマ
空間演出とは
こんにちは。アロマギフトの市井です。
空間を演出するという言葉の意味は、五感に刺激を与えることと定義されます。
例えば、ライブイベントをイメージすると視覚や聴覚などが挙げられます。
従来までは、この視覚、聴覚に訴求するコンテンツが多かったのですが、実は嗅覚という点は非常に後発となっています。
理由としては、当たり前のように皆さんが食事するように、味覚や嗅覚はごく当たり前のように存在してしまったことが大きな要因です。
つまり、当たり前のようにある香りだからこそ、香りを意識することが薄れてしまったのです。
商品としては、消臭や無臭や芳香(とにかく強い香りでマスキング)という手法が先行して発達してきました。
香りの付加価値と歴史
単に消臭すれば良いというところから、消臭機能が持続したり、ニオイの予防などの効果面がまず発達しました。
続いて、香りをつけることが発達します。
無臭の香りになったからこそ、良い香りが映える訳です。そこで、シトラス系、フローラル系、グリーン系・・という抽象的な香りが席巻しました。この時代までは、香料はコストに過ぎず、いかに安く香料を作ってとりあえずシリーズ販売することが目的のように見えます。品質は後回しです。
皮肉なことに、トイレにシトラス系や金木犀のような香り)が頻繁に使われるようになったことで、トイレのニオイ=シトラスや金木犀の香り、という固定概念も植え付けられた人も多いのでは?
そして、ここ数年の間は、天然のアロマテラピーという造語が市民権を得ました。大手の家庭消費財メーカーもこぞって、洗剤や柔軟剤などに天然アロマを謳ったり、ラベンダー、ダマスクローズ、そして柚子の精油配合、というように、より具体的な香りをターゲットにして商品を展開し、CMも多く出すようになりました。
この時代では、香りはコストではなく、むしろ乱立する他メーカーの商品との差別化で付加価値として資本を投入しています。市場の消費者側もアロマテラピーの認知が広がり、良い香りだから多少価格が高くても購入する、という適正価値として認められるようになりました。
そして、現在につながっている形です。
これからは、どこ産の精油を使っているのか?何と何の精油のブレンドの配合か?その精油の機能性は消臭?それとも安眠?など、色々な学術研究データやトレーサビリティと複雑に絡んで市場の目が肥えてきます。
これは、ちょっと高級なスーパーやデパートの地下でも誰が作ったのか。日本国産の牛で、個体番号があるか、とか、●●県の〇〇農園の△氏が作ったイチゴとか、が非常に増えている現状を見れば、同じようなことが起きると考えています。例えば、広島県産のレモン、高知県産の柚子や淡路島の玉ねぎなどはすでに大きな信用を得ているように感じます。
香りの質にこだわる消費者
目前ではこのようなトレーサビリティシステムが出来上がり、消費者の目も肥えます。すると、次は通販やEC市場が盛り上がります。
店頭に行けば、香りを直接嗅げます。しかし遠方だと嗅げない。ましてはコロナ禍では外出もできない。するとどうなるでしょうか。
食品で例えればデリバリーが発達しました。どうように香りの空間演出を自宅で楽しみたい人が増える訳で、当然のようにインターネット通販で購入する人が増えます。
食品ならある程度ならイメージもつくし、最近では口コミサイトも多いので参考になります。
一方で、アロマや空間演出の香水などは必ずしも口コミが発達しているとは言えません。
では、そういう口コミサイトが流行するか?というと、私はそうは思いません。確かに、某大手ECプラットフォームや同じく化粧品関係の口コミプラットフォームでも、香水についてレビューや口コミはあります。でも、確実に主観的です。レストランの口コミとの違いは、レストランは食品の写真(視覚)や店員の接客(感覚)などに加えて味(味覚)の複数の主観が統合された口コミかどうかです。香水の場合は、ボトルの写真はECサイト上のボトルと何ら違いはなく、結局9割以上が香りの評価です。あとはパッケージや発送してくれたショップの応対や漏れが無いか?とかのサービスが1割以下でしょうか。
つまり、次に香水市場やアロマの業界で起こることは、リープフロッグ現象です。
空間演出、アロマと香水のリープフロッグ現象
新興国などが、先進国が歩んだ通常の技術発展のステップを一気に飛び越して(フロッグ:蛙がジャンプするように)、革新的に一気に最先端の技術水準に達すること。場合によっては先進国よりも早く普及してしまう。ただし、リスクの評価は行っていないので、予期せぬ失敗も秘めている。
よくある例えとして、新興国では、中間層も豊かなので、全員が銀行口座を持ち、紙幣、現金経済が発達したことで、キャッシュレス化がかなり時間を要しています。一方で発展途上国では現金を持つと防犯上リスクがあるので銀行に預けたいけど、一般人はなかなか口座すら作れなかったり、ローンを組むにも信用が無いから借金もできない。しかも銀行側もATMもコストがかかり破壊されることも多いからATMも簡単に設置できない状態だった。その中で、紙幣や現金というのは敬遠されながらも使われていた。そこで、スマホで簡単にお金の送金や支払いもできる上に、口座も作れるキャッシュレスのサービスが導入されたらどうなるか。さらに使用実績に応じて小口のローンもできるということで、一気にキャッシュレスが普及した。
もう一つの例としては、アフリカなどでは、電話回線やADSL、光回線などの従来のインフラは高コストで設備が普及しなかった。しかし、小型衛星やロケットの発達でスマートフォンによるネット回線が特に普及したことで、スマホを通じたモバイルインターネットサービスが普及した。
以上のように、香水やアロマの業界は、いちいちECサイトで香りがよくわからないけど購入しよう、という人はあまりいないのではないかと私は考えます。
リープフロッグ現象が起こるとすれば、次に挙げるメタバースの世界で空間演出の一環としておの香りが体験できてしまうのではないか。そしてそのまま購入できればまさに香りの齟齬、不一致も起きないと考えます。
メタバースでもアロマや香水で空間演出
近年、メタバース仮想空間などの発達もめまぐるしく、よりリアルでそして意味のある香りに注目を浴びています。
単に香りがすれば良い、という訳ではなく、その香りにどんな意味があるのか?という深い領域に広がりつつあります。
オンライン上でも香りを楽しむことで、企業のPRや広告戦略としても活用ができる時代となっています。
NFTで香りを作り空間演出
絵画や美術やコンテンツ系のNFTをビットコインでやり取りするのが当たり前になってきつつあります。そして、実は香りの分野でもこのNFT化が進むと予想しています。
従来までは、香りや香水は特許がとれない、取りづらい分野でした。というのも、香りの賦香(混ぜる度合い)は企業秘密なのです。これは某人気のスパイス系炭酸清涼飲料水も何がどの配合で入っているかわからないのと似ています。
香水で特許をとろうとすると申請段階で、その配合を公開する必要があるから、特許を申請しない、または取得できない。ということになっています。また、特許という観点自体が高コストかつ、模倣もされないわけではありません。
香りに少しアレンジを加えてしまえば、特許侵害に当たらない可能性も高いからです。
このような香りという一種のコンテンツにもNFT化して、空間演出にその香りが採用される度に開発者に収入が入る形にするのも面白い時代だろうな、と感じます。
香りを作る順序
以上のように、香りは目先だけで作るのではなく、どのようなユーザーがどんな空間演出を楽しみにしているか、をしっかり定義しておくとスムーズです。
アロマギフトでは、香りによる空間演出を視覚やデザインと同様の位置付けと捉えて、主観だけでなく客観的にもその香りがその香りであることを意識して製作しています。
オリジナルの香りを使った化粧品やアロマオイルを製作する際は、ペルソナを設定し、マーケティングやカスタマージャーニーなど一般的な商品を開発するのと全く同じステップを踏んで企画段階からサポートします。
香りのある空間をデザインする。空間演出に興味がある方は、お気軽にご相談ください。